私は吐息した。死ねば私の意識はたしかに無となるに違いないが、肉体はこの宇宙という大物質に溶け込んで、存在するのを止めないであろう。私はいつまでも生きるであろう。 大岡昇平『野火』 1 I'm Only Sleeping 2 飼育 3 空腹の背景は不服 4 ミナソコ 5 「…

「ぼくがまだ死人であることに慣れていないのかもしれない。だがこの場所でも、この議論も、ぼくには夢にしか思えないのだ。それも、ぼく自身がみている夢ではない。これから生まれようとする別の人間によって夢みられる夢、だよ」 ボルヘス『死者たちの会話…

「わたしを利用してくれてありがとう」 カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』 １ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ １３ １４ １５ １６ １７ １８ １９ ２０ １ そういえば、最古の記憶は影だったような気がする。 こうして夕暮れを歩…

「人生はたった一回のトリップで、なにもかもが重いんだよ」フィリップ・K・ディック『スキャナー・ダークリー』 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 エピローグ 1 朝の屋上は嫌いではなかった。 朝露が空気と一緒に肺に吸…

僕たちはいつも 叶わないものから順番に愛してしまう ごめんね ごめんね これでもう最後さ きのこ帝国「海と花束」 これはシンプルな物語だ。 要約すれば――男の子と女の子が出会う、それだけの話。 1 - ガラスの墓標 2 - 斜陽 3 - メルトダウン 4 - シャーロ…